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マルタン・プロヴォ監督  インタビュー / Interview de Martin Provost

Je vous livre tous mes secrets, ce n'est pas Cécile qui nage.
撮影の秘話を明かすと、実際に泳いだのはセシルではないんです。

フランスの画家、ピエール・ボナールとその妻マルトの半生を描いた映画『画家ボナール ピエールとマルト』のマルタン・プロヴォ監督のインタビューです。

Q: Quelles sont vos impressions sur le Japon ? (日本の印象は?)
日本に来るのは4度目で、毎回、穏やかで幸せな気持ちに包まれます。『セラフィーヌの庭』や『ルージュの手紙』など、これまでに多くの作品のプロモーションで日本を訪れており、日本文化に大変興味を持っております。
Q : Qu’est-ce qui vous a poussé à devenir réalisateur ?(なぜ、映画監督になろうと?)
子どもの頃、アマチュア映画を作っていた祖父と一緒に映画を撮ったのがきっかけで、映画監督を目指しました。しかし、IDHEC高等映画学院(現在のla Fémis)に入学するには学力が足りず、俳優の道を選びました。10年間俳優として活動しましたが、途中で自分の進路が間違っていると気づき、映画監督に転身しました。
Q : Pourquoi avez-vous pensé à faire le film sur Bonnard ?(なぜ、画家ボナールの映画を撮ろうと?)
『セラフィーヌの庭』の後、マルト・ボナールの姪孫から映画制作の依頼を受けましたが、当時は興味がありませんでした。10年後、ロックダウン中にボナールの絵を見て、特に彼の妻マルトが描かれた絵に強く惹かれました。マルトが自分の出自について嘘をついていたことが、彼女の夫の作品に反映されていると感じ、、ボナール夫妻についての映画を作ろうと決めました。マルトだけでは十分ではないと感じましたが、20世紀初頭の夫婦内における女性の立場に焦点を当てた映画を作ることは、とても興味深い挑戦になると思いました。
Q : J’ai beaucoup aimé la dernière scène. Comment ça s’est passé le tournage ?(ラストシーンはとても良かったです。撮影はどのように行われたのですが?)
これは、私もとても気にいっているシーンで、死の王国へ旅立つシーンです。このラストシーンのアイディアは最初から持っており、沈みゆく太陽とともに撮影する必要がありました。その日、セーヌ川の水位が非常に低くなっており、撮影時間は2時間しかありませんでした。私の撮影開始の合図とともに、ヴァンサンは裸になり 、セシルは川岸へ向かいました。それはまるで魔法のような瞬間でした。撮影の秘話を明かすと、セーヌ川で実際に泳いだのはセシルではなく、アシスタントなんです。後で太陽がもっと低くなった状態で2本目を撮影しましたが、野生のように撮った最初のテイクの方が、いきいきとしていて遥かに美しかったです。

マルタン・プロヴォ 監督 プロフィール

マルタン・プロヴォ 監督 プロフィール

1957年5月13日フランス・ブレスト生まれ。18歳の時にパリに上京し、俳優としてキャリアをスタートさせる。80年代に « Le voyage immobile » で初舞台出演を果たしたのち、劇団「コメディ・フランセーズ」に入団し6年在籍する。その後、映画を撮ろうと決意し、監督に転身。1997年に初の長編映画『Tortilla y cinéma(未)』を発表。2008年、フランスに実在した素朴派の女性画家セラフィーヌ・ルイの生涯を描いた『セラフィーヌの庭』で高い評価を受け、主演を務めたヨランド・モローが女優賞を受賞するほか、作品賞や脚本賞などセザール賞7部門を受賞。その後、実在の作家ヴィオレット・ルデュックとシモーヌ・ド・ボーヴォワールの濃密な友情を綴った『ヴィオレット ある作家の肖像』(13)を製作。女性の深い内面を丁寧に描くことに定評があり、『ルージュの手紙』(16)では、2 大女優のカトリーヌ・ドヌーヴとカトリーヌ・フロが母と娘役で初共演し、話題となった。コメディ作品『5 月の花嫁学校』(20)は、主演のジュリエット・ビノシュをはじめ、フランスの名女優たちが出演した。  

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