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第37回東京国際映画祭『不思議の国のシドニ』Q&A

Il a fait un travail extraordinaire. Merci Tsuyoshi !
伊原剛志さんは素晴らしい仕事を成し遂げてくれました。 ありがとう、剛志!

第37回東京国際映画祭で『不思議の国のシドニ』が上映され、11月3日に開催されたQ&Aに、主演を務めたフランスの名優イザベル・ユペール、共演の伊原剛志、エリーズ・ジラール監督が登壇した。

Q : なぜ、『不思議の国のシドニ』を撮ろうと?
Élise Girard:「この映画は2013年に『ベルヴィル・トーキョー』のプロモーションで初めて日本を訪れた際に着想を得ました。そのときに1週間も滞在することができ、大変幸運なことに配給会社の方が美しい日本を案内してくれました。そこで『不思議の国のシドニ』で映した美しい風景を、私自身が体験し、インスピレーションを得ました。日本にとても魅了されて、大好きになりました。」
Q:『不思議の国のシドニ』出演のオファーを受けたとき、どう思われましたか?
isabelle Huppert :「脚本を読んだとき、良い作品だと思い、出演を即決しました。脚本が素晴らしかったからです。 Élise Girard監督の前作『静かなふたり』に娘のLolita Chammah が出演してます。素晴らしい作品だと思いました。その映画は『不思議の国のシドニ』と同様に文学を扱った作品です。」
全編、フランス語での役作りについて
伊原剛志 :「フランス語は全く喋れなかったんです。最初4カ月ぐらい準備期間があって、セリフの音声を(ゆっくり、ちょっとゆっくり、普通)3段階のスピードでいただいたのですが、それを聞いてもさっぱりわからなくて、英語の方がフランス語に近いと思ったので、先生に、フランス語のセリフを英語に翻訳したものも用意してもらい、日本語で意味を理解して、英語とフランス語で照らし合わせて覚えました。先生がよかったのと、私の耳もよかったようで。また、コロナ禍で撮影が一旦中止になったので、翌年また4カ月の準備期間をとることができたのもラッキーでした。オンラインで監督とセリフについて細かくディスカッションできて、撮影に臨むことができました。しかし、フランス語入門の本は読んだこともないので、セリフしか言えません。」
Q :日本での撮影で学んだこと、得たことは?
Isabelle Huppert :「映画を撮っているときは、何かを学ぶというよりも、さまざまな体験ができわくわくさせられます。今回、嬉しかったのは色んな場所に行けたことです。私はこれまでに何度も来日していますが、知らない場所もありました。奈良や神戸や直島などで、撮影ができたのは本当に幸運でした。こうして異国で映画を撮るというのは、とても特別なことです。自国を離れて、遠く離れた場所での撮影となるので. ダブルの体験が味わえました。ただ映画を作るだけではなく、日本で映画を作ることで、新しさや独特さや発見、そして謎がすべて詰まった体験になります。それが日本の特質なのだと思いますが、日本には何度も何度も戻ってきたくなる魅力があります。もっと理解したい、もっと感じ取りたい、そんな気持ちになるんです。」
Q : 伊原剛志のフランス語での演技について
Isabelle Huppert 俳優「剛志は謙虚すぎるので、私から付け加えさせて頂きます。彼は本当に素晴らしい仕事をしてくれました。私が、全て日本語で演じなさいと言われたら、どうなっていたか分かりません。日本語は「こんばんは」を言うのがやっとのことです。彼は、非常に難しい仕事を見事に成し遂げてくれました。ありがとう 剛志!」

イザベル・ユペールのプロフィール

プロフィール

1953年3月16日 フランス・パリ生まれ。フランス国立高等演劇学校(コンセルヴァトワール)で演技を学び、舞台やテレビを経て1971年に『夏の日のフォスティーヌ』で映画デビュー。クロード・シャブロル監督『ヴィオレット・ノジエー ル』(78)でカンヌ国際映画祭最優秀女優賞を受賞。『勝手に逃げろ/人生』(79)『パッション』(82) などゴダール作品で主演を演じるかたわら、『天国の門』(81) でアメリカにも進出。その後は国際的スターとしてコンスタントに出演作を重ね、『ピエラ・愛の遍歴』(83) と『主婦マリーがしたこと』(88) ではヴェネチア国際映画祭の女優賞を受賞。これまでセザール賞主演女優賞に13回ノミネートされており、史上最多記録。ミヒャエル・ハネケ監督の『ピアニスト』(01) では、2度目のカンヌ国際映画祭最優秀女優賞に輝く。 さらにポー ル・ヴァーホーヴェン監督『エル ELLE』(16)でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。その他の主な出演作に、ミア・ハンセン= ラヴ監督『未来よ こんにちは』(16)、ホン・サンス監督『クレアのカメラ』(17)、フランソワ・オゾ ン監督『8人の女たち』(02)、『私がやりました』(23)などがある。  

伊原剛志のプロフィール

プロフィール

1963 年日本、大阪生まれ。1983 年に舞台「真夜中のパーティー」で俳優デビュー。その後 NHK 連続テレビ 小説「ふたりっ子」(96)でヒロインの幼馴染を演じ、一躍注目を集める。日本国内の作品のみならず、クリント・イーストウッド監督『硫黄島からの手紙』(06)、ヴィセンテ・アモリン監督『汚れた心』(11)な ど、海外作品にも多く出演している。その他の主な出演作に『ストレイヤーズ・クロニクル』(15)、『家 族の日』(16)、『ヤクザプリンセス』(21)などがある。  

エリーズ・ジラール 監督のプロフィール

プロフィール

1974 年フランス、トゥアール生まれ。大学で脚本について学んだのち、映画館チェーン「シネマ・アクシオン」の広報担当として働き、その時の経験をもとに2本の中編ドキュメンタリー映画『孤独な勇者たち/シネマ・アクシオンの冒険』(03)、『ロジェ・ディアマンティス、あるいは本物の人生』(05)を監督。2011 年には初の長編作品『ベルヴィル・トーキョー』を監督し、 続く長編 2 作目『静かなふたり』(17)では、ベルリン国際映画祭フォーラム部門に選出された。  

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