第84回アカデミー賞に輝いた、映画『アーティスト』のミシェル・アザナヴィシウス監督 (Michel Hazanavicius) 来日インタビューです。
いや、まだ自分では受賞式から日が短いので実感する時間がありません。
米配給のトップのワインスタインの顔が見えなくなったから、ああもうアメリカにいないんだなと思うくらいです。もちろんオスカーは憧れてましたが、夢が叶ったからといって、何の変化も感じられません。アメリカとは、セレモニーの前からずっとやりとりがあったので、アカデミー賞セレモニー後も特に変わりはありませんでした。みんなが僕を見る目が変ったかもしれませんけど。
そうですね、日本の印象はそんなにかわりません。前回は東京国際映画祭で来日し、自由時間がたくさんありました。取材の数も少なく、街を歩く時間もたくさんありました。今回は取材がたくさん入っており、あまり散歩ができませんが、気持ちいい街だなと思います。外国からみた東京はとかく大都会で人間性が薄い町なのかと思われがちですが、実際に自分で歩いてみると非常に人間感溢れる街だと思いますし、出会う人たちもみんなとても感じのいい人たちばかりですよ。
物語のシナリオにすでに犬が書かれていたので、犬を探さなくはいけませんでした。ハリウッドで撮影が決まった時点でハリウッド周辺で犬を探しました。まずは、俳優動物を豊富に抱えている大きなプロダクションでオーディションを行いました。たくさん素晴らしい犬がいましたが残念ながら僕が欲したジャック・ラッセル・テリアはいなく、そこでは採用にいたりませんでした。そのあと噂で小さいプロダクションにジャック・ラッセル・テリアがいると聞いて会いにいきました。確かに小さいプロダクションでしたが、その犬はちょっとした調教師の合図で脚本にあることを完璧にやってのける犬だったので、彼に決めました。
90%が英語圏のスタッフでしたので、基本的にほとんど英語でした。でも僕も撮影監督もフランス人で、脚本もフランス語だったので、ついフランス語で説明をしてしまい、全ての情報がみんなにいきわたらなかったりして時間が掛かってしまったこともあります。国民性や文化の違いはそんなに感じませんでしたが、仕事のやり方は異なりました。お互いに順応しあい、撮影を進めて行きました。現場では、監督とスタッフの関係で、国籍より自分がどういう役割を務めているということが重要となります。文化や国籍の違いはありませんでした。